豊前国の南部と豊後国を合わせた地域である大分県。その中心となるのは、宇佐神宮を始めとする八幡信仰です。
全国の八幡社の総本宮の宇佐神宮は、神仏習合の中心地として放生会や東大寺建設に関わり、道教事件の舞台にもなりました。現在は斎行されていませんが、八幡神の御験の薦枕造替にかかわる重要な神事であったのが、宇佐宮の行幸会でした。行幸会では、御験の薦枕の創建譚の伝わる薦神社で苅られた真薦を、宇佐宮下宮で薦枕として仕上げ、上宮に奉られます。旧御神体は、下宮、次に八幡神が遊行した宇佐八ヶ社を巡幸し、最後に奈多宮に納められ海に流されました。その行幸会に関わる神社を始め、各所に重要な八幡社が鎮座しています。
また式内社として西寒多山(本宮山)に祀られていた西寒多神社。鶴見岳を祀る火男火賣神社。由布院を開拓した神ともされる宇奈岐日女神社。神武東征の舞台となり、蛸を神使とする早吸日女神社。祖母山を祀る健男霜凝日子神社などが知られています。